よみコミ!

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漫画の感想ブログ。メジャーなものから隠れた良作まで幅広く読んでいます。誰かの新しい漫画の出会いの場になれば幸いです。

『不死の猟犬』人間が死なない世界、「死ぬ病」を巡るSFアクション

今回ご紹介させて頂きたいマンガはKADOKAWAハルタにて連載中の八十八良先生「不死の猟犬」(既刊6巻、以下続刊)。不死の猟犬と書いて『しなずのりょうけん』と読みます。

以前企画した
あなたのおすすめの漫画を教えてください!で応募いただいた方のレビュー第一弾となります。現在も募集中ですので気になった方はぜひご応募ください。

 

 

<試し読み>

 

はじめまして。ソゴール (@sogor25)と申します。
普段は細々とtwitterでマンガの感想をツイートしているのですが、せっかくの機会なので記事を書かせて頂きました。拙文ではございますが、お読み頂ければ幸いです。




この物語は、ベッドに寝ている彼女の頭を彼氏がピストルで撃ち抜くという衝撃的なシーンから始まります。

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しかしながら、この彼女は次のページには何事もなかったかのように生き返り、先ほどとは打って変わって日常のシーンへと移っていくのです。

 

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「その世界では、人間は死なない。」公式の説明ではこのように紹介されています。
正確には、老衰によって人間が死ぬことはあるようなので、「人間が生き返る世界」という表現のほうが適切かもしれません。
つまり、健常な人間が絶命すると、その数秒後には何事もなかったかのように生き返る、という世界です。
冒頭のシーンについても、彼女はただ風邪をこじらせただけで、その
治療として彼氏に殺してもらっただけという場面。おそらくこの世界では日常の1シーンを切り取っただけのものなのでしょう。

このような「人間が生き返る世界」で、RDSという「人間が生き返らなくなる病」という伝染病が示唆されるところから、この物語が動き始めます。
RDSに感染した人は文字通り「殺されても生き返らなくなる」、つまり普段の私たちと同じような状態となってしまいます。

この病気を媒介する存在として「ベクター」と呼ばれる人間が存在することが明かされていますが、物語の当初の段階ではRDSの感染経路すら判明しておらず、ベクターという存在は謎に包まれています。

この物語は、ベクターを秘密裏に処分しRDSの感染拡大を防ぐために警察内部に設置された対ベクター特別班、その班長に任命された剣崎真一警部補と、警察がベクターを処分しようとする時に現れてはベクターを保護、回収する謎の存在「逃がし屋」の少女たちとの対立を主軸として展開していきます。

このマンガの面白さは、RDSという謎の病についての謎が少しずつ深まっていくというSF的な要素と、警察と逃がし屋との戦闘というアクション要素の双方を楽しめる点にあります。

戦闘についていえば、警察側の人間はみな「殺されても生き返る」存在であるため、逃がし屋側からは相手を絶命させない程度の攻撃、かつ、自殺して復活するという手段をも封じるために両腕を落とすという攻撃が求められます。そのため、戦闘シーンにおいてはかなり残虐な表現も多く見受けられますが、その分戦闘の迫力も大きなものになっています。


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また、RDSについては、物語の冒頭で非感染者がベクターを好きになることが感染のトリガーになる伝染病であることが示唆されますが、ある感染者に関する捜査を行っている途中、感染源が全く存在しないということが判明します。


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このような謎解き要素とアクションの両方を楽しめることこそがこのマンガの最大の魅力であると思っています。

さて、私がこのマンガの記事を描きたいと思った理由の1つは、このマンガの根幹にあるRDSという病の正体が最新刊でようやく明かされたということにあります。
中盤以降は戦闘シーンメインで物語が進行しており、RDSの謎についてはやや放置気味でしたが、ここにきての戦闘の一旦の終結とそれに合わせて明かされるRDSやベクターの正体、ひいてはこの世界全体の秘密…その全てが明かされた今、一気に読み進めてもらえれば、よりこのマンガを楽しんでもらえるのではと思っています。

 

そしてもう1つ、記事を書く上でこのマンガを選択した大きな理由は、このマンガが映像化に不向きな、マンガでしか表現できない物語であると感じているという点にあります。
個人的な印象となってしまいますが、普段マンガを読まない層から見ると、面白いマンガはすべからくアニメ化・実写化されるものであり、映像化されてこそのものであると考えている人が一定数いるように感じています。もちろん映像化が映える作品も多々あるとは思いますが、私はマンガでしか表現できない、もしくはマンガで表現するのがベストだという作品もたくさんあると思っており、そういう作品がもっと広く読まれてほしいと常々思っています。

不死の猟犬については、残虐描写が映像化に不向きであるという点もそうですが、全体の戦闘シーンや人間が生き返るシーンなどは動きを付けて表現をすることが難しく、コマを割ってポイントの画のみを抜き出して描くマンガだからこそ可視化された形で表現ができている、と感じるシーンが多くありました。そのため、ぜひこのマンガの記事を書かせて頂き、1人でも多くの人に読んでもらいたいと思った次第です。

ここまでお読み頂き、ありがとうございます。そして、少しでも興味を持って頂いた方は是非、「不死の猟犬」をお手に取って頂ければ幸甚でございます。