よみコミ!

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漫画の感想ブログ。メジャーなものから隠れた良作まで幅広く読んでいます。誰かの新しい漫画の出会いの場になれば幸いです。

面白い漫画が打ち切りになるという悲しさ

打ち切り。商業漫画を連載中の漫画家ならほぼ全ての人が頭によぎるワードです。
ミックスの売り上げが良ければ重版がかかり、メディア展開され、印税でがっぽりなんて夢のある話があれば、商業である以上、売り上げが悪い作品、アンケート結果の悪い作品などは利益が見込めないと判断され、あえなく打ち切りを宣告されます。


近年出版不況が囁かれ、売り上げ不振で打ち切りと言われたなら読者としては口惜しいものの納得はできます。
そんな中、ここ数日看過できない話題がありました。
漫画アクションで連載中(だった)知るかバカうどん先生の『君に愛されて痛かった』、月刊バーズ売野機子ルポルタージュ』が売り上げ以外の理由で打ち切りというのです。



知るかバカうどん先生は元々成年向け漫画で活躍していた作家で、その過激な描写が話題でした。
成年向け漫画『ボコボコりんっ!』についてはかなり覚悟を持って臨まないと厳しい作品です。

しかし一般誌での初連載作品『君に愛されて痛かった』(クリックで立ち読み )については直接的な描写は控え気味(作者比)にして、精神的に攻めた内容にしているため、一般読者にもこれはウケるだろうと思い、当ブログでも紹介していました。

 
連載が始まって数カ月たち、そろそろ単行本情報出ないかなと考えてた矢先の出来事だったのでまさに青天の霹靂でした。

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表現上アウトだと判断されれば編集がストップをかけるなり、問題個所が見つかれば単行本出す前に修正を入れればいいのでは?というのが疑問点です。
バカうどん先生のツイートを見る限り20日頃には通達がされていたようなので、最近起こった座間9人遺体事件との直接の関係はなさそう。

7話目、8話目辺りを読んで上層部がストップをかけたのかなと推測されます。
ただ掲載誌の漫画アクションは『奈落の羊』『監禁嬢』などアングラ系の過激な描写が売りの作品が多く連載していたし、これも大丈夫だと高を括ってました。
あれが良くてこれがダメっていうのは正直なんだかなぁという感じです。

「やりたい表現をしてもいい」という条件を盾にバカうどん先生が食い下がった結果、打ち切りになった可能性も考えられるので、実際に漫画アクション編集部に電話をかけてみました。

担当者は不在とのこと。\知ってた/


とりあえず誌面なり公式サイトなりで理由を説明して欲しいとは伝えました。

 

 

あれもダメ、これもダメじゃあ不健康


リテイクの要求があったのか。真相は当事者にしか分かりませんが、編集の役目とは一体なんだと残念な気持ちで一杯です。
クジラックス先生の感想書いたときも、「彼らのやったことは決して許されることではない」と但し書きしたものの、案の定何人かにフォロー外されましたよ。まあ娘を持つ親ならその気持ちわからんでもないと思って諦めました。ただね、フィクションと現実をごちゃ混ぜにして考えてる人そんなに多いの?と今回を件で改めて思いました。

あれもダメこれもダメと完全に心を閉ざす方がよっぽど不健康な気がします。誰しも喜び、妬みなど様々な感情があります。そうした悪いことも受け止めて成長するものだと私は考えます。
押さえ付けられて育った子が反動で自堕落な生活を送るなんて話もよく聞きますし、ある程度は毒にも慣れた方が分別のあるたくましい子に育つんじゃないかと思います。

上に立つ者であれば、むやみやたらに規制するのではなく、理解を示し、正しい選択は何かを判断・指導できる人であって欲しいです。

いずれにせよ単行本の印税も出ないと、生活に困窮することも十分に考えられます。
ここまで感情をぶつけてくる迫力のある作品はなかなかありません。
それが陽の目に当たらず、打ち切りになるならあまりにも理不尽だしもったいない。

社会では協調性が重要でも、漫画では何よりも個性が重要なはずです。
個性が重要なはずの漫画業界で、出る杭が打たれるのなら、当たり障りのない話しか生まれてきません。そんな漫画誰が熱心に応援したくなるでしょうか。最初は良くてもそのうち飽きてしまいます。
『君に愛されて痛かった』は販売戦略を適切に行えば収益の見込める作品になる可能性が高いです。どこかの出版社に拾われることを願います。


売れないことは罪、それでもできることはある

売野氏のルポルタージュ』の打ち切りについては結論を先に述べると仕方ない。の一言に尽きました。

「売り上げは良かったはず」という言葉に疑問を持ったため下記のサイトで売り上げを調べてみました。

書籍ランキングデータベース


すると1巻は週間圏外までになるまで9日で3,321部。
これはバーズで連載中の作品の中では良かったのかもしれません。
ただ一読者からすると「売り上げは良かった」と思う人は少ないんじゃないかというのが実情です。


マイナー誌であれば大して売れなくても大丈夫ということは決してなくて、何万、何十万、願わくば何百万部クラスの作品が出てくる可能性を信じて雑誌が刊行されています。


もちろん本当に評判が良ければ巻き返す事例もないことはないです。


マッグガーデンというおそらく普通の人だと何それ?と思われる可能性もある出版社で発売された『リィンカーネーションの花弁』
1巻発売時点では発売1週間で1,180部と苦戦を強いられていました。

しかし口コミでその面白さが広がり重版を重ねていき、5巻では初動が1万部を突破し、最新6巻では4万部と右肩上がりに売り上げを増していきました。
これは作品が面白いことが前提ですが、担当も頑張って売り込んできた結果なんじゃないかと思います。
多忙な中、編集者も気苦労が絶えないと思いますが、作家任せにせず売り込んで欲しいところです。


ジャンプのようなメジャー誌と比べると、そもそもの発行部数から違う場合があるのでマイナー誌の場合、部数よりも重版されたかどうかが見るべきポイントになります。

そうした観点から見ても残念ながらルポルタージュは重版の報もなく、2巻は上記のサイトで集計4日で圏外になり(つまりそれ以降は大きな動きがない)1,603部と通常の単行本売り上げの例にならい部数を下げています。

このサイト本当に信用できるの?と疑問に思う人もいそうなので別のサイトの売り上げランキングも載せておきます。

こちらでは2巻は2日で500位圏外に陥落。1巻は1週間で二千部ほどの売り上げとなっており、残念ながら先のサイトの方が売り上げは良いです。

shosekiranking.blog.fc2.com


直近の過去作

クリスマスプレゼントなんていらない (バーズコミックス)

が1,556部(集計9日)

売野機子のハート・ビート (フィールコミックスFCswing)

が889部 (集計9日)と確かに作者の過去作と比べると売り上げは良いです。

しかし先ほど述べたように一般的に言われるような「売り上げが良かった」とまではいかず、出版社の都合で打ち切られることは十分想定の範囲内だったと私は結論付けました。

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集で売野氏の作品を初めて読んだときは素敵な話を描く人だなあと思っていました。
しかしこれぐらいの売り上げで満足してしまう向上心のなさ、危機感の薄さ、出版社が悪いという風潮にしようとした姑息さに幻滅してしまいました。



 

今回の打ち切りについては出版社も作者も力一歩及ばず打ち切りになってしまったという感じではないでしょうか。


こんなこと書く自分も幻滅されそうですが、知られずに打ち切られていった作品なんて山ほど見てきましたからね。
そうした知られていない面白い作品に少しでも少しでもスポットが当たるようにブログを書いています。

自分一人が言った面白いの影響は微々たるものでも、誰かの目に留まって同じように面白いと思ってもらえれば嬉しいし、それは次に繋がります。

別に同じようにブログを始めろとは言いません。
良いと思ったら「あなた素敵ね」と褒める。
面白いなら読まれる工夫をする。
面白いと思ったら声に出したり、単行本を買うなり方法は沢山あります。

これは別に単行本を買えと強制する話じゃなく一般論の話をしています。
お母さんが料理を作ってくれたら「美味しい」と言う。
誰かに助けてもらったら「ありがとう」とお礼を言う。

誰かとぶつかったら謝る。
そういう忘れがちな当たり前ができる人が増えたら今日も世界は平和だという話です。

 

 

「打ち切り」という言葉が嫌なので、何か代わりの言葉を考えたい

打ち切り漫画でも長年語られる作品はあります。
打ち切りが決まってからどうオチつけるかで漫画家の本当の力が判るという意見には同意です。
打ち切りで納得のいかない完結を迎えたせいで「面白かったのに…」とファンを落胆させるのは読者も作者も心が痛くなります。

とりあえずそんな心を少しでも穏やかにするために「打ち切り」の代わりになる言葉を募集しています。

言葉が変わったところで意味自体は変わらない。それはわかってる。
「ハゲ」という言葉が「髪の毛が乏しい人」という言葉に変わっても物寂しさは変わらない。違う。そういう負の単語を明るめできないか。そんなことを考えてる。

「ヴァルハラ」とかどうだろう。「戦死者の館」とかそういう意味だけどカタカナにしたらちょっとかっこいい気がする。
「天に召された」とか「昇天」とかも前向きな気持ちになりそう。なるかな?なりません?なりたいな?

とりあえずヴァルハラれて少しの間は落ち込んでも、次に向かって欲しいんだ。
打ち切りにあってから努力してヒット作を生み出した漫画家を私は沢山知ってます。
応援する作家がそういう人だと応援しがいがある。

負の感情を漫画にぶつけてくるのも全然構わないです。
次はもっと売れてやる。そんな向上心のある作家が増えれば、まだまだ漫画も捨てたもんじゃない。そう思ってくれる人も増えるんじゃないかな。そんなことを考える。