よみコミ!

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漫画の感想ブログ。メジャーなものから隠れた良作まで幅広く読んでいます。誰かの新しい漫画の出会いの場になれば幸いです。

運命の恋と戦いのロマンシング・ファンタジー『百年のワルキューレ』の感想と考察

百年のワルキューレ(1) (マガジンエッジKC)

 
また新たに続きが楽しみな漫画が出てきました。
力強い意志を感じさせる男性と、逆に弱弱しく、不安そうに涙を流す女性のイラストが印象的な本作のタイトルは『百年のワルキューレ

剣乙女と書いてワルキューレと読むそうです。「この世界は一人の女に狂っている 世界に戦乱を呼ぶ百年に一度の恋」という帯も目を引きます。

 


今回はこの作品の感想を簡単な紹介をしたいと思います。ネタバレを含みますが、これを読んでからでも十分楽しめるはず。

 

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私は電子書籍で購入したので単行本の画像は少年マガジンエッジの公式ツイッターからお借りしました。カバー裏におまけ漫画があるそうです。

 

【内容紹介】

百年に一度、「ギフト」と呼ばれる超常現象が起こり、強大な力を持つ「神剣」がただ一人の男に与えられる世界。「剣乙女」――ワルキューレから愛と神剣を手に入れた一人の英雄が、最北の国・ローレシアで革命を成し遂げる。それから7年後。かつての革命で全てを失ったローレシアの皇子・ニコライ(クラウス)は、数奇な運命の巡り合わせで、新たな剣乙女と出会う。百年に一度の運命の恋が、世界に戦乱を呼ぶ――。

 

作者の紹介

作者の三月薫さんはこれまで少女漫画誌デザートを中心に活躍されており、『かわいいから許す』などで女性読者を中心にファンを集めています。イラストのお仕事を除くと今回が4作目。現在少年マガジンエッジで連載中の『百年のワルキューレ』が初の少年向け作品となりました。


百年に一度起こる超常現象「ギフト」

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この物語の世界では百年に一度、不思議な現象が起こります。「ギフト」と呼ばれる閃光が天から一人の女性に落ちてくるのです。

閃光の祝福を受けた女性は「人の理を外れ」「神鉄の剣を抱く」と言われています。その女性に力を与えられた男性は国の歴史を、そして世界をも変えられるほどの絶大な力を持つことができるとされ、その女性—ワルキューレを求めて国同士の争いが起こっています。

物語はこの女性に「ギフト」が授けられたところから本編に入ります。天と剣に愛された女性の名はアーシャ。儚げな美人ですね。

彼女の「人の理を外れた力」は人魚姫の涙。ようは涙が宝石に変わる力です。涙の一粒一粒が宝石に変わるのだからこれだけでも莫大な富が得られそうです。
彼女の「神鉄の剣」はいまだ正体不明ですがこれもまたとてつもない力を秘めていそうです。このアーシャを中心に物語は大きく動き始めます。

 

 

愉快で魅力的な登場人物

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主人公は真ん中のクラウス・フィンブル。幼少時代は一国の皇子としてニコライと呼ばれていましたが、四代目ワルキューレの力を手にしたヴィクトル王に攻め入られ、現在は名を変えて暮らしています。イケメンですね。


「我らの赤」とはクラウスの暮らす国・ハイデルブルグにある、実力重視で編成された三つの特殊部隊のうちの一つ赤腕」と呼ばれる戦闘部隊のことです。赤い腕章が目印。

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慣れない用語が沢山出てくると難しく感じると思うんで、とりあえずこのへらへらしたスカシと任務中に雪うさぎ作ってるバカ、毒舌で話すユリヤたち三人の顔だけでも覚えて帰って頂ければなと思います。

 

ヴィクトル王とクラウスの因縁

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この4代目ワルキューレの名を受け継ぐ神剣「イリヤ」を手に入れたヴィクトル王に、クラウスは弟以外の家族を殺されるという忘れられない思い出があります。クラウスを生かした理由は彼が将来どんな眼をするか気になったからという気まぐれな理由。

神剣持ちのヴィクトル王からすればいつでも排除できると思っての余裕でしょうね。実際、現時点では全く歯が立っていません。それぐらい神剣「イリヤ」は強大な力を持っています。おそらく再び戦うことになりそうですがどんな決着を迎えるか楽しみです。

 

 

剣乙女アーシャとのロマンス

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ここは流石少女漫画で活躍されてた方だなという素敵なお話で、少女漫画を描いてた頃のファンも嬉しい気持ちになるのではないでしょうか。物語に欠かせない部分です。重要だし必見だし欠かせない部分です。大事なことなので二度言いました。

早速スカシ野郎クラウスにたらしこまれてるアーシャにチョロイン疑惑がかかりますが、二人の間には多くの事実と試練が待ち構えていそうです。二人のロマンスの行方に注目です。

 

 

今後の展開の予想と考察 

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 この伝承らしきものも1巻を読み終えたあとに改めて読むと印象が変わってくるんですよね。特に気になった箇所は「その日から不変の姿で生きという文です。

4代目のワルキューレイリヤ」が7年前の革命で最期を迎えたときに、少なくとも93歳以上のおばあちゃんなはずが若々しい後姿(76ページ参照)を保っているので「変の姿=不老不死」というのはなんとなく想像がつきました。

ではなぜ不変の存在であるはずのワルキューレイリヤ」が最期を迎えるのか。それは
イリヤがヴィクトル王と恋に落ち不変の姿=剣の姿に変化する」からだと考えると腑に落ちました。

「不変なはずの存在が、運命の相手と結ばれることで一度だけ変化する」というとロマンチックですが、もしそれが最期の姿になるなら物悲しくなりますね。
もっと単純な条件でワルキューレが生きたまま神剣が出現したらすいません(笑)

さらに言うと「共に生きて 共に潰える」という文章が「一人の男と一人の女」を指すのか、それとも違うものを指すのかも気になりました。違うものを指すならまた展開が変わりますが、この予想は外しそうなので気になるとだけ。

ただ「神剣保持者の治める国」という発言(76ページ参照)もあるし、ヴィクトル王以外にも神剣持ち、あるいは存命するワルキューレが複数いそうです。この部分はまた話の中で出てくれば書きたいと思います。

というわけで1巻は多くの伏線らしきものがありました。気になったのは

・神剣はどこにあってどうやって渡すのか
・「五度目のギフト」とあるので五人の剣乙女(ワルキューレ)が出てくる?
・出てくるならイリヤ以外の神剣の力と人の理を外れた力は何か
・赤腕以外の二つの特殊部隊
・国同士の勢力争い

この五つでしょうか。場合によっては悲しい結末になりそうですが、そこは上手く魅せてほしいところ。個人的に特殊部隊がどういう風に話に絡んでくるのか気になります。

あと重要なことを忘れてました。クラウスの弟・アレクが可愛い

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【感想・まとめ】

 カテゴリ的には少年漫画ですが、大人でも読める長編洋風ファンタジーの序章という印象を持ちました。女性作家らしい繊細な描写で男女問わず読める内容だと思います。

アクションシーンにもう少し躍動感があるといいかなという部分はありますが、風呂敷を広げてきた分、1巻では期待に胸ふくらむ面白さがあります。伏線や今後の展開については無理やりではなく、丁寧に描いて欲しいところです。そのためにはある程度の巻数が必要に感じたので人気が出て長く続いてくれると嬉しい。ぜひ一読あれ。

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